政府広報オンラインより|リカレント教育について
政府広報オンライン上で、面白い題材が取り上げられていました。すなわち、「リカレント教育」(Re-current)についてです。内容は要するに、社会人の学び直しについて、こんな方法がありますよという感じです。
私自身も、プロフィールをご覧いただいた方はご存知のとおりかと存じますが、大学を卒業して、転職を経てバスの運転手をしていたときに、中央大学法学部の通信教育課程に入学して卒業しています。これもいわゆる「リカレント教育」の一環となるのでしょうか。今回は、そんな経験談も交えつつ、社会人の学び直しについて述べたいと思います。
<参考>
政府広報オンライン「「学び」に遅すぎはない! 社会人の学び直し「リカレント教育」」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202108/1.html)
リカレント教育
リカレント教育ってなに
「Re-current」=繰り返す、循環する。
社会に出た後に、それぞれの人に適したタイミングで再び、仕事に活かすための知識やスキルを学び直すことをいい、仕事と教育を繰り返すことをいいます。ただし日本においては、仕事を休まず学び直すスタイルもリカレント教育に含まれるとされ、「社会人の学び直し」とも呼ばれているそうです。例えば、外国語、MBAや資格習得、ビジネス系科目、プログラミングスキルなどを学び直すことが、最近では注目されているでしょう。
ちなみに、生涯学習はこれとは区別して理解するのが一般的なようであり、生涯学習はリカレント教育に加えて、学校教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、ボランティア活動や趣味などの学習も対象に含まれるとされてます。
リカレント教育を始めたい
リカレント教育を始めたいけど、情報収集の方法が分からないという方に向けて、文部科学省事業で「マナパス」(外部のホームページに飛びます。)という社会人の学びの情報を届けるサイトを運営しています。
マナパス「マナパスの使い方」(https://manapass.jp/sp/userguide.html)より引用
マナパスは社会人に向けて5つの情報収集の方法を提供しています。
- まずは気軽に講座を受けてみたい人
- ある程度まとまったプログラムを受講したい人
- 学位を取得したい人
- 職業に活かせる技能や資格を取りたい人
- 通学せず自宅等で学びたい人
マナパス(https://manapass.jp/)より引用
例えば、学校種別を「大学」、課程を「正規過程」、通学/通信を「通信」として検索をすると、
マナパス「講座一覧」より引用
中央大学法学部通信教育課程も出てきます。これにアクセスすると、その学校や講座の情報が閲覧できる仕組みとなっています。
中央大学法学部通信教育課程での体験談
中央大学法学部通信教育課程の学費について
さて、ここからは少し体験談を交えて中央大学法学部通信教育課程について述べたいと思います。このブログは小林典広の体験談と個人的見解でありますので、中央大学法学部通信教育課程の公式の見解ではありません。また、宣伝などでもありません。これらの点を踏まえて、ご覧いただきますようお願い申し上げます。
社会人としては、やはり学費というのは気になるところだと思います。この点、通信教育課程は極めて安価です。
- 基本授業料(年額)/8万円
- オンデマンドスクーリング1科目/1万5000円
- 短期スクーリング/1科目/1万円
基本的に気にする点は上記3点です。(ちなみに、消費税込みか別かは、忘れましたのでご容赦ください・・・。)年間の学費は8万円です。通学制の大学と比較すると、かなり安価であることは明白でしょう。この理由は、通信制でありますから、通学制とは異なって施設を利用しないからではないかと考えています。「スクーリング」(オンデマンドか短期かを問わず。)とは、いわゆる短期集中講義です。
費用については、社会人として働きながら在学するとすれば、さほど影響はなかったです。
中央大学法学部通信教育課程での講義や学習の方法について
私の在籍期間が2016年から2020年でしたので、当時とは制度が異なっているかもしれないという点を、あらかじめご承知おきいただいた上でご覧ください。
通信教育課程では、入学が決まると段ボール箱に教科書等一式が郵送されてきました。科目についてはいわゆる六法もさることながら、選択で科目を選ぶことができます。単位の取得方法は、レポートを4通提出し合格すると、科目試験の受験資格が得られます。そして、科目試験に合格すると、単位の取得が認められるという仕組みです。このとき、スクーリングを受講することをもって、レポート2通の合格に代えることができます。スクーリングとレポート提出をうまくこなして、卒業に必要な単位を取得していくこととなります。
また、私の場合、通学制の大学(東京国際大学)を卒業していますから、中央大学への入学は「編入」という取り扱いになりました。そうすると、取得単位数は半分くらいで足りますので、大学を一度卒業しているという方が再入学するときには、メリットだと思います。事前に大学を卒業していない場合には、例えば語学や体育といった、大学卒業に必要な基礎科目の単位取得も求められることとなります。
ちなみに、在籍期限はありますが、留年という概念はなかった気がします。ですので、「必ず4年で卒業しなければならない!」というわけではありませんでした。
通信教育課程での学習時間の確保について
学習時間の確保については、働きながら学生をする場合には計画的に行う必要があると思います。私はバスの運転手でしたので、体力的にはかなりきついものがありました。ただしこのようなときでも、体力の限界よりも知的好奇心が勝る人にとっては、特に苦になるものではないので、恐れることはないと思います。どんな感じでバスの運転手をしながら勉強したのかという点ですが、一例を挙げたいと思います。
4時起床
5時出社
6時から10時まで乗務
10時から14時まで休憩 ←ここで勉強できます。
14時から18時まで乗務
19時帰宅
19時から23時まで勉強
で、翌日10時から乗務という感じです。あくまで一例ですが。
職種によって、休憩時間やいわゆるアフターファイブが異なりますが、このような時間をうまく使う必要があるでしょう。加えて休日に勉強をすることができれば、卒業までの期間はかなり短くなると思います。
中央大学法学部通信教育課程での見につく技術
通信教育課程では、対面式の講義はスクーリングを除いたら、ありません。ですので、レポート提出が中心となり、これが合格しないと卒業できないこととなります。そうすると、文章作成能力が自然と身につきます。これは、法律専門職を目指す方々にとってはかなりのメリットだと思います。すなわち、法律専門職はすべからく文章作成が欠かせない職業であるところ、レポート添削をするのは学者の先生方でありますから、論理的飛躍や欠如があると、合格しません。私自身も初期の頃、刑法のレポートで「何を書いているかさっぱりわかりません。」という不合格判定をもらったことがあります。その当時は「このやろう」と思いましたが、卒業後に改めてみてみると、同じ意見を持ちました。個人的な意見ですが、通信教育課程を卒業した場合には、一定の文章作成能力は担保されると考えていいと思います(レポートをコピペするなどの不正をしなければ)。
レポートの作成には実務同様、
問題発生⇒調査⇒証拠(例えば引用文献など)収集⇒検討⇒論述
という過程を経ることとなります。その練習には、通信教育課程はうってつけだと思います。最初はレポート不合格が重なり、才能ないのかなと思ったりもしますが、誰もが通る壁です。このときあきらめたら、はじめて才能ないということになると思います。なぜなら法律専門職は、原則的には(もちろん例外も多々ありますが)ご依頼を断ることは認められませんし、「わからない」という理由で「あきらめる」ことは、基本的にはやってはならないことと思います(ただし、どうしてもわからない場合に、その分野を専門にしている他者を案内することは職務上の義務として求められ、これを怠ったときには債務不履行が成立すると思われます。この場合においても「諦める」のか「顧客の利益を最優先して、他者を案内した方が顧客の利益になる」のかは大きく異なります)。したがって、あきらめない限りは、どんな人でも、才能がないとは言い切れないと私は考えています。
文章作成能力、法律専門職の倫理というのは、通学制でももちろん身につくと思いますが、これと遜色ないか場合によってはこれを超える能力が身につくと考えています。
リカレント教育の支援制度
支援制度について
費用については、社会人として働きながら在学するとすれば、さほど影響はなかったといいましたが、しかしやはり支援があれば助かることは間違いないと思います。では、どんな支援制度があるのでしょうか。
教育訓練給付金
これは雇用保険法(昭和49年法律第116号)第60条の2に基づく制度であり、働く方の能力開発、中長期的なキャリアアップが目的です。対象となる講座を修了した場合には、自ら負担した受講費用の20%から70%の支援が受けられます。
これには、例えば行政書士講座などもありますし、弁護士を目指す方なら法科大学院も対象となります。ご自身のキャリアアップなどをお考えの方は、一度講座を調べてみるといいかもしれません。対象講座の調べ方は、厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムで簡単に調べることができます。詳しくはこちら。厚生労働省のホームページに飛びます。
高等職業訓練促進給付金
母子家庭の母、又は父子家庭の父の経済的自立を支援するため、自治体として協力して就業を支援する制度です。政府広報オンラインによると、看護師等の国家資格や民間資格を取得するために就学する場合に、月10万円の支給が受けられるとされています。
母子家庭の母又は父子家庭の父に対する支援制度は、今般、増えています。川崎市でも例えば、母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度やひとり親家庭等医療費助成事業などがあります。
このような様々な制度を活用しつつ、豊かな暮らしを実現することもできますので、調査をしたり、行政書士などの専門家に相談するのも手だと思います。もちろん、信長行政書士事務所でもご相談を承ります。
その他
そのほか、在職中の方を対象に今後のキャリアを相談するためのキャリアコンサルティング、働きながら訓練を受けることができる公的職業訓練、文部科学省が行う就職・転職支援の大学リカレント教育推進事業などがあります。終身雇用制度が廃れてきている日本においては、このような制度を活用しつつ、自己の能力向上を図ることも流行りはじめています。
資格勉強は大変なこともありますが、なかなか楽しいことでもあります。制度を活用しつつ、楽しみながら自己の能力も向上するというメリットがありますので、知っているとお得です。
まとめ
制度活用の注意点とまとめ
制度には、ほとんどの場合、条件があります。ご自身がその条件に当てはまるか否かをしっかりと確認しましょう。わからない場合には、担当者に聞いてみるというのもいいと思います。活用すると、負担が減ることがありますので、リカレント教育をお考えの方は、同時に、制度を探してその条件に当てはまるかを検討するのも、よいと思います。
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