消費者庁の任期付職員募集から見る

query_builder 2021/10/19
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 本年10月15日に消費者庁は、任期付職員の募集が公表されました。行政書士としては、このような行政庁の動きは結構気になるところであります。なぜなら、このような動きは必ず理由があると考えています。

 今回は、どのような動きがあるのでしょうか。個人的な意見ですが、見てみたいと思います。

募集の内容

採用予定官職


 採用を予定している官職は、内閣府事務官(消費者庁取引対策課消費者取引対策官)です。

消費者庁.png

wikipedia「内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当)」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E7%89%B9%E5%91%BD%E6%8B%85%E5%BD%93%E5%A4%A7%E8%87%A3%EF%BC%88%E6%B6%88%E8%B2%BB%E8%80%85%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%A3%9F%E5%93%81%E5%AE%89%E5%85%A8%E6%8B%85%E5%BD%93%EF%BC%89)より引用


 取引対策課は、消費者が商品やサービスを安心して取引できる市場環境を整備することを目的としており、主な担当法律は、特定商取引法、特定電子メール法や預託法などです。このほかにも、宅建業法、旅行業法、割賦販売法や貸金業法も所管しているとされています(消費者庁の概要の2頁。消費者庁のホームページに飛びます。)。

職務内容


 消費者庁取引対策課では、先ほど述べた訪問販売などといった消費者トラブルを生じやすい取引を対象として、消費者保護と健全な市場形成の観点から法律に基づき、取引の適正化を図っていると紹介されています。


 今回の募集職員は、取引対策課消費者取引対策官として、取引対策課の一員として業務を行うことが予定されています。具体的には、次の業務です。


  • 法律の法解釈に関する検討
  • 法令改正業務
  • 訴訟対応業務
  • 特定商取引法及び預託法の法律に関する法執行業務(事件調査・行政処分)
  • 審査請求に係る審理員業務


 ここは、重要だと思います。私の見解としては、「今後法改正あるからそのために!」ということではないかなと考えています。そして、募集する人材を弁護士に限っている点で、おそらくその裏付けとなるのではないでしょうか。募集人材は、法曹資格を有し、かつ、2年以上の実務経験を有する者です。つまり、弁護士です。  業務内容と併せ考えると、やはり法改正などが近い将来あるのではないでしょうか。


 そして、雇用期間は2年ですから、比較的長期な感があります。

募集の背景は?

消費者契約に関する検討会の報告書


 個人的な見方ですが、今回の募集の背景を勘ぐってみましょう。まず大きな理由に、事務所のブログでも取り上げましたが、「消費者契約に関する検討会の報告書」も要因の一つとして挙げられると考えています。


 すなわち、報告書では「社会経済情勢の変化等に対応した消費者契約に関する新しい規律が実現することを切に希望する。」(消費者契約に関する検討会「報告書」(令和3年9月)の3頁https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/meeting_materials/assets/consumer_system_cms101_210910_01.pdf)と述べられており、法改正があることをうかがわせています。


 この報告書のテーマは、次の5つです。


  • 消費者の取消権
  • 「平均的な損害」
  • 不当条項等
  • 消費者契約の条項の開示
  • 消費者契約の内容に係る情報提供の努力義務


 消費者関連法の分野では重要視されている論点について、法改正が望まれています。したがって、そのような法改正のために法曹の人間が必要であるため、今回の募集に至ったと考えることができます。


 逆を言えば、この募集があるからこそ、消費者関連法の改正の可能性が高まるといえるでしょう。そうすると、中小企業や個人事業主の方は特に早めに対策をし、万全の準備を整えるためのヒントとなるでしょう。

特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会


 もう一方で、特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会も、現在進行形(脱稿日である10月18日現在)で行われています。


 これは、第204回国会で改正された特定商取引法に伴う検討会です。検討会では、契約書面に代えて電磁的方法による提供が可能な場合について、消費者からの承諾の取り方と、電磁的方法による提供の在り方という課題が挙げられています。


 この点についても、特定商取引法改正案が出た段階で激しく議論がなされた部分です。なぜなら、特定商取引法は高齢者などのいわゆる社会的弱者を保護する法律であり、そのような方々に対してパソコンなどを使わせるような改正は悪である!という理由です。


 しかし実際には改正されましたので、これを実行に移すことが行政としては求められます。そこで、検討会を開き、どうすれば契約書面等の電子化を実現できるかを考えなければなりません。


 結果として、この話がまとまることを前提として、その後の改正や行政運用として法曹の方を招き、現場の運用を含めた改訂を行う必要があるという流れだと考えます。


 今回の募集の裏にはこのような背景があると考えます。そうすると、特定商取引法についても運用などの改訂が考えられるため、行政書士としてはそのような対策を中小企業や個人事業主の方へ提案することが求められるでしょう。

まとめ

近々法改正があるのでは


 数か月というような早さではないにしても、おそらく1年か2年以内には、新たな法改正が検討されたり、特定商取引法の運用の仕方が変わったりするかもしれません。


 我々としても情報を察知することが求められますが、そのような情報は、意外とこういうところからも見いだせるというのがあります。


 例えば、FATFの件についていえば、FATFの報告書が出る前には金融庁で、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策のメンバーを募集するなどの動きがありました。このようなことを考えると、あながち的外れな考察ではないと思います。


 情報が命の仕事にとっては、このような些細な動きもキャッチする必要があるのかもしれません。

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