行政不服審査法の改善に向けた検討会の中間取りまとめについて①

query_builder 2021/11/02
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 本年10月25日、総務省は、行政不服審査法の改善に向けた検討会の中間とりまとめについての意見募集を公表しました。


 意見公募の期間は本年10月26日から同年11月24日までの間となっています。


 行政不服審査法(平成26年法律第68号)は、国民にとっては重要な法律です。なぜなら、まず行政不服審査法の目的は、行政庁(つまり日本国などの国家的権力ととりあえずは理解すれば大丈夫です。)の次の行為を対象としています。


  • 違法な処分
  • 不当な処分
  • その他公権力の行使に当たる行為


 そして行政不服審査法は、これらの行為を受けた国民が、とても承服することができない場合に、その不服を簡易迅速に、かつ、公正な手続の下で申立てをすることができる制度を定める法律だからです。


 昨今ではコロナウィルス感染症の流行によって、行政庁が飲食店に対して、時短営業を

迫ったりなど、行政法も注目を集めています。行政不服審査法は、行政法と区分されている法律の一つであり、同時に注目を集めているようです。


<参考>

総務省「「行政不服審査法の改善に向けた検討会 中間取りまとめ」についての意見募集」(令和3年10月25日)(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyokan01_02000134.html

行政不服審査法の改善に向けた検討会の中間取りまとめ

検討する理由は


 本稿では行政不服審査法の内容について説明するというよりは、今回総務省が公表した「行政不服審査法の改善に向けた検討会」の中間とりまとめについて、触れていこうという趣旨です。


 さて、なぜ今回、行政不服審査法の改善に向けた検討会を開催し、実際に検討したのでしょう。


 これは、行政不服審査法が平成28(2016)年4月1日から施行され、本年4月で5年が経過したからです。


 そして、5年を経過した場合に、検討しましょうということが行政不服審査法に決められていたからです。すなわち行政不服審査法附則第6条(検討)では「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」としています。


 今回の検討も、気まぐれではなく法律に基づいて行われたものであるという点は、結構重要だと思います。今後、行政不服審査法が計画的に検討され、法改正がなされる可能性が高いと見ることができるからです。

行政不服審査法の改善に向けた検討会の中間とりまとめの主要なポイント


 検討会の中間とりまとめにおいてポイントとして挙げられている主要なものは、次の3点です。


  • 手続の迅速化等の目標が十分に達成されていない。
  • 審査請求への一元化等の制度の目標はある程度達成している。
  • 審理員制度等の制度の目標はある程度達成している。


 そして、重点的・集中的な対処が必要なものとして、次の5点が掲げられています。


  1. 審理手続の担い手の確保・育成
  2. 不服申し立てに関わる各主体の体制の整備
  3. 運用マニュアルに沿った手続の徹底
  4. 国民に対する情報提供の促進
  5. 行政不服審査会等の答申における付言の活用


 無理やり結論を提示するとすれば、人材不足の解決と体制整備という結論に至るでしょう(実際にはもっと詳細に検討されています)。

行政不服審査法のねらい


 行政不服審査法のねらいは大きく分けて、


  1. 迅速な救済
  2. 制度の活用促進
  3. 公正性の向上


 とされています(総務省「行政不服審査法の改善に向けた検討会 中間取りまとめ」(令和3年 10 月)10頁(https://www.soumu.go.jp/main_content/000774950.pdf))。



 公正性の向上は、検討会では7項目に整理されていますので、文字が小さいのですが、これらを分解して後日触れていけたらいいなと思います。

まとめ

まとめ


 行政不服審査法は、旧法(行政不服審査法(昭和37年法律第160号))が全面改正されて成立し、平成28年4月1日から施行された法律です。


 行政不服審査法附則第6条によって、この度検討されることとなりましたが、今後どのような結論に至るのかは注目です。なぜなら、国民の権利救済に関わる重要な法律だからです。


 また、行政書士になろうとする方も、また、行政書士としても行政不服審査法の改正は重要です。特に、特定行政書士の活躍に関わるかもしれません。今後の動きに注目です。


 検討会の中間とりまとめはかなり長文となっているので、今後当事務所のブログでも複数回にわたって整理したいなと思っています。

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