行政不服審査法の改善に向けた検討会の中間取りまとめについて③

query_builder 2021/11/09
ブログ
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 前回のブログでは、行政不服審査法の改善に向けた検討会の中間取りまとめの内容である行政不服審査法を平成26年に改正したねらいと、その評価について一部触れました。


 今回も、その一部について触れていきたいと思います。


<参考>

総務省「「行政不服審査法の改善に向けた検討会 中間取りまとめ」についての意見募集」(令和3年10月25日)(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyokan01_02000134.html

制度の活用促進

制度の簡略化


 平成26年の行政不服審査法改正によって、次のように制度の簡素化が図られました。


  1. 「異議申立て」から「審査請求」へ
  2. 申立て期間の延長
  3. 情報提供の充実

 このうち、(1)については国民や市民の方というよりは、専門家にとって意義があるものだと思います。なぜなら、制度の利用については国民や市民の方が自ら行うというのは、正直あまりないからです。


 それよりも、申立てができる期間や情報提供の充実について、どのように改正され、また、その改正が5年を経てどのように評価されているのかを探る方が、有意義だと思います。

申立て期間の延長


 改正前では、審査請求をすることができる期間は60日でした。2か月ですから、なかなか難しいところがあります。


 しかしこれは、平成26年の改正によって3か月とされました(法第18条1項)。


 1か月延長されたことは良いことと評価できますが、これは本人が自ら審査請求をすることが前提と考えられるべきだと思います。


 実際に、代理人に依頼することを前提とするならば、この期間では審査請求のための準備期間としては不十分でしょう。実際に、士業関係からはそのような意見が寄せられています(総務省「行政不服審査法の改善に向けた検討会 間取りまとめ」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000774950.pdf)24頁)。


 見直しの方向性についても検討されていますが、審査請求は3か月が短いとされているが、民事訴訟とは違って職権主義が採用されていることを理由に、審査請求をすれば足りるのであるから、これをさらに延長することを要しないとしているようです。


 当面は、3か月が続くものと思われます。

情報提供の充実


 審査請求などの不服申立てにつき裁決等をする権限を有する行政庁は、不服申立てをしようとする者又は不服申立てをした者の求めに応じ、不服申立書の記載に関する事項その他の不服申立てに必要な情報の提供に努めなければならないとされています(法第84条)。


 要するに、聞かれたら答えるように頑張ってねということです。頑張ってねというだけで、法的義務はありません。したがって、回答を法的に強制することはできません。


 しかしながら同条の「その他の不服申し立てに必要な情報」には、例えば、不 服申立ての可否、審理手続の基本的な流れ、審理手続終了後の裁決の時期の見通しなど(前掲取りまとめ25頁)、不服を申し立てる本人が聞いても意義がある点が大事です。


 しかし実際には行政庁も、審査請求の対応のみを行っているわけではありませんから、説明がぞんざいになってしまったりということもあるようです。


 見直しの方向性については、わかりやすく案内するパンフレットを用意するなど、更なる情報提供の充実を図るべきではないかということが検討されています。

小括

まとめ


 行政不服審査法の制度の活用充実がまとめられています。令和元年度の不服申立ての分野別件数を見ても、それなりの件数があることがわかります。


総務省「令和元年度 行政不服審査法施行状況調査 (国における状況について)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000742389.pdf)3頁より引用」


 実際には弁護士に依頼して行うことが多いと思いますが、総務省が前述のとおり、職権主義があるから審査請求をすれば足りるだろうという記載をしていることからすれば、国民や市民の方ご本人自らで審査請求書に記載し、提出している方もいらっしゃるのかなという感じがします。


 不服申立てをするという目的であればそれでも構わないと思いますが、実際に不服申立てをする方は、行政庁の決定に服従することができかねており、それから解放されたいのであって、それが達成されなければ満足はできないと思いますから、それこそ弁護士に相談し、法的論理構成をもってして申立てをすることが望ましいと思います。

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