知的財産取引に関するガイドラインについて

query_builder 2021/11/30
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 昨今の事業活動において、情報の重要性は増しています。これを適切に取り扱うように相手方に義務付けるにはどうすればいいのでしょうか。また、その限界はあるのでしょうか。

 他方で、自分の事業が情報を不適切に取り扱わないようにするためには、どうすれば様でしょうか。


 この点、中小企業庁では、令和2年7月に「知的財産取引検討会」において、知的財産取引を適正に推進するための対応策について議論してきました。これを踏まえ、問題事例の防止や知的財産取引における企業間の共存共栄を図るため、「知的財産取引に関するガイドライン」を作成されました。


<参考>

中小企業庁「知的財産取引に関するガイドライン」(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/chizai_guideline/guideline01.pdf)閲覧日:令和3年11月30日

知的財産取引に関するガイドライン

知的財産取引に関する問題点


 中小企業庁実施のヒアリングによると、次のような問題が提起されています。正直、このような問題が生じた場合には、まずはご自身にとって、ビジネスパートナーとして適合するか否かを検討すべきです。

 

 私の場合は、どうしても譲れない部分を譲っていただけない場合には、これを正当な理由と解して契約締結自体を謝絶する方針にしています。


 その部分で納得いかないまま契約を締結すると、後々、トラブルとなり心身ともに疲弊するからです。


 特にフリーランスの方は、相手方のいいなりになるようなことは絶対にしない方が良いです。前回のブログでお伝えしましたが、契約書がないまま仕事を受けるのは、避けるべきです。


・契約締結前

片面的な秘密保持契約書(NDA)や秘密保持期間が短い内容(例えば、期間が1年間未満で更新条項も無いもの)の NDA を提示してきて、中小企業の情報を一方的に聞き出そうとするケー スがある。
前掲中小企業庁1頁

 このような場合、契約書の内容をよく吟味する必要があります。例えば、必ずしも期間が1年間未満で更新条項がないものが悪いわけではありません。


 契約締結を検討する段階においては、その交渉期間中や6か月・1年間の間は競業避止義務や秘密保持義務を課すということは、ないではないです。


 他方、秘密保持契約を締結したということのみをもって、安心してどんな情報も相手方に提供してしまうというケースは、散見されます。


 秘密保持契約を締結したとしても、提供する情報はよく吟味すべきです。そして相手がそのような交渉に応じない姿勢を表した場合には、交渉を断念し終了するという選択肢も、当然あってしかるべきです。


・共同研究開発における成果の権利帰属


契約書等の案は大手企業側から提示されることが多い。共同開発による成果であっても全て相手側に帰属するといったものや、中小企業サイドのみが一方的に秘密保持誓約書を提出させられるなど、一方的な内容が多い。<中小企業経営者>
前掲中小企業庁2頁


 このような悩みは中小企業のみならずフリーランスなどにもあると思います。このような場合において、無事に契約を締結し、仕事を受ける方法は次の2つが考えられます。


  1. 契約締結を断念する。
  2. 一方的契約を受忍する対価として、相当の報酬を得て仕事を受ける。


 一般に、経営者としては事業運営上、報酬を得ることに傾倒してしまうことは多いです。


 しかし、自己の主張はしっかりと通すことが、公正な取引につながるケースも多々あります。そして、その主張をもって相手方と交渉し、そこで形成された合意を契約書に正しく落とし込むことによって、その後の予防ができます。


 場合によっては、契約締結に至らないこともありますが、その際には、契約締結前にお互いのメリットが合わなかったという消極的利益ととらえるようにしています。

 

 不利な内容の契約締結は、自身も疲弊するのみならず、従業員がいる場合にはその従業員や家族なども疲弊します。


 そうすると、大切な人的資源に重大な影響が及び、ひいては事業運営上、重大な損失につながることもありますから、目先の報酬に捉われない判断も重要です。

公正取引委員会報告書について


 前掲中小企業庁では公正取引委員会報告書についても述べているところ、その中で、有識者から「優越的な地位にある事業者が取引先の製造業者からノウハウや知的財産権を不当に吸い上げている」という指摘があることを取り上げています。


 具体的には、次のような事由です。


  • 秘密保持・目的外使用禁止契約なしで取引を強要される。
  • 営業秘密であるノウハウの開示等を強要される。
  • ノウハウが含まれる設計図面等を買いたたかれる。
  • 無償の技術指導・試作品製造等を強要される。
  • 著しく均衡を失した名ばかりの共同研究開発契約の締結を強いられる。
  • 出願に干渉される。
  • 知的財産権の無償譲渡・無償ライセンス等を強要される。
  • 知的訴訟等のリスクを転嫁される。


 正直、これに類する取引を行う際には、弁護士を頼りながら交渉をした方が間違いなく良いです。


 なぜなら、知的財産は無形ではあるものの、事業運営上、これが第三者に不適切に利用された場合には、莫大な損失を被る可能性があるからです。


 したがって、契約交渉段階から弁護士に代理してもらったり、同席してもらいつつ契約書の作成等を任せた方が、事業継続に資するでしょう。


 その辺の対価の支払いは、惜しむべきではないと個人的には思います。


 また、問題点として「何度求めても絶対に秘密保持契約等を締結してもらえず、秘密保持契約等が無い状態での取引を強いられる(金属製品製造業)」というのが前掲中小企業庁3頁にありますが、このような状態になったら、改めてその契約を締結する意味を再検討する必要があるでしょう。


 なぜなら、そのような不公平な取引を締結した場合には、その後もずーっと不公平な立場は変わらず、いわゆる搾取される状態に至ることも少なくないからです。

小括

知的財産を守る方法


 知的財産を守る方法は、一般的に2つです。すなわち、契約によってその取り扱いを明確にする方法と、不正競争防止法に定める権利を行使する方法です。


 不正競争防止法による知的財産の保護は、同法に定める要件を満たす情報管理が求められますから、社内体制の整備の一環として見直すことが求められます。これについては、後日改めて触れられたらなと思っています。


 契約による知的財産の保護は、正直、契約書を締結したからすべて安心ということはありません。というか、どのような契約でもそのような安心はありません。


 常に限界があり、その限界を超えた部分については、実運用で証拠を収集するほかはないと考えています。例えば、議事録を作成したり、やり取りはメールで残すなどです。


 そして、知的財産などの重要な財産に関する契約については、弁護士や弁理士などの専門家、又は行政書士などで知的財産に詳しい専門家などに相談しながら、慎重に進めるべきです。


 また、重要な財産だからこそ、一方的な契約締結を突き付けられたら、その契約締結交渉自体を謝絶する勇気を持つことが大事です。


 これはある意味、中小企業やフリーランスの宿命みたいなものだと考えております。私もその一人ですが、自身の主張を提示することは、悪ではありません。むしろ、その主張が自身を守ることになりますから、その勇気を持つことは非常に重要です。


 契約書の作成についても、お困りのことがあったら専門家に任せるとよいでしょう。

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