アフィリエイト広告規制の今後の流れ

query_builder 2022/01/28
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 本年1月27日、消費者庁から同月28日に開催される「第6回アフィリエイト広告に関する検討会」に提出する資料等が公表されました。


 特に資料2の「報告書(案)」については有意義な内容が見て取れますので、こちらを中心に触れていきたいと思います。


<参考>

消費者庁「第6回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2022年1月28日)」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/026907.html

消費者庁「アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書 (案)」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/assets/representation_cms216_220127_04.pdf

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告のおさらい


 インターネット上の広告手法の多様化・高度化等に伴い、広告主(商品・サービ スの提供を行う事業者をいいます。以下同じ。)がアフィリエイトプログラムを利用した広告(以下「アフィリエイト広告」といいます。)が多く見られます。消費者庁が公表する下図のとおり、広告主が直接消費者に広告を届けるわけではなく、ブロガーなどが「実体験!」などを執筆したものが我々に届いているという流れです。

 ネットサーフィンしていると出てくる広告が、それです。

前掲消費者庁報告書(案)14頁より引用


<アフィリエイト広告の流れ>

前掲消費者庁報告書(案)9頁より引用


 その市場規模は2019 年度には約3100億円であったものが、年々増大しており、2024年度には約5000 億円へと増大していくことが予測されています。


<アフィリエイト広告の市場規模>

前掲消費者庁報告書(案)8頁より引用


 アフィリエイト広告は非常に魅力的な広告手法であって、その運用方法が適切になされていれば、消費者の動向などから消費者が気にしている広告が出てきてマッチングできるなど、多くのメリットがあります。


 他方、一部の悪質業者による悪徳手法が問題提起されました。

アフィリエイト広告の問題点


 まず前置きとしてこれはぜひご認識いただきたいのは、すべてのアフィリエイト広告が悪いのではないという点です。


 アフィリエイト広告は先ほど述べたとおり、消費者の需要と広告主の供給をマッチングされるという画期的な機能を有しており、これによって消費者としては欲しいものが比較的簡単に見つけられるというメリットがあります。


 第一の問題提起は、一部の悪質業者についてという点は、ご認識を誤らないようにしたいところです。


 さて、令和元年のPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステムのことであり、国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステムをいいます。以下同じ。)の相談件数は約5万件に上っていることが報告されています(前掲報告書(案)33頁)。

 具体的には、次のような内容のようです。


  • スマホを利用中に、お試し痩身サプリ 300 円という広告を見てお試しのつもりで注 文したが、定期購入だった。
  • SNSを利用中に、美白クリームの広告を見て効果があると思って申し込みをした が、使用しても効果が感じられなかった。
  • スマホの動画サイト閲覧中に、二重まぶたになるクリームの広告を見て申し込みをし たが、契約後に定期購入契約であったことから解約のため、請求書の連絡先に電話し たがつながらない。
  • 1回限りのお試しのつもりで注文したにもかかわらず、契約内容が定期購入になって いた。
  • 何度電話しても電話がつながらず、解約ができなかった。
  • 数か月間、商品を使っても効果が感じられなかった。


 そして、第一の問題提起は悪質業者に対するものでしたが、調査すると、必ずしも一部の悪質業者のみの問題ではないことが明らかになったとされています(前掲報告書(案)33頁)。

アフィリエイト広告に対する企業のトラブル予防の取り組み


 さてここからは、そのような問題となる広告(アフィリエイト広告に限りません。)について、法律はどのような規制をしているかという点から見てみましょう。


 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号により成立し、令和元年法律第16号により改正されたもの。以下「景表法」といいます。)第26条1項において、広告主は、その広告を適正に管理する措置を講じなければならないことが定められています。


(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置)
第二十六条 事業者は、・・・内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2~5 (略)

 具体的には、次の措置を講じる必要があるとするのが理想的であると思われます(前掲報告書(案)34頁以降)。もっとも、理想的というだけで、現実にはこれがすべて行われているわけではありません。


  • 広告主によるアフィリエイト広告の管理
  • アフィリエイト広告の表示内容の確認

 ① アフィリエイト広告の掲載前の確認

 ② アフィリエイト広告の掲載後の確認

  • アフィリエイト広告の表示内容の保存
  • アフィリエイト広告に関する成果の承認
  • アフィリエイターとの提携解除
  • アフィリエイターに対する研修
  • 事業者団体等の取組


 以上の点を理想とする検討会の委員に対し、実際に事業を行っている事業者からは、様々な意見が飛び交ったようです。ご興味がある方は前掲報告書(案)の34頁から42頁をご覧ください。

アフィリエイト広告に関する論点整理・提言(案)


 以上のようなことを踏まえて、アフィリエイト広告の検討会では、次の3つの論点を整理しました。


  1. アフィリエイト広告に対する景品表示法の適用に係る基本的な考え方等
  2. 悪質な事業者への対応
  3. 不当表示の未然防止策(景品表示法第 26 条に基づく事業者が講ずべき表示の管 理上の措置)

アフィリエイト広告に関する論点整理・提言(案)

アフィリエイト広告に対する景品表示法等の適用に係る基本的な考え方等


 報告書のうち、特に事業主にとって重要なのは、アフィリエイト広告に対する景表法等の適用に係る基本的な考え方を理解することかもしれません。


 大まかに、次のポイントを押さえておきましょう。


  • アフィリエイト広告は、景表法上は広告主の表示とされるものであること。


 アフィリエイト広告の悪徳手法の責任を広告主に問おうとすると、「広告内容はあくまでアフィリエイターが作ったものだからうちは一切関係ない」として責任をとろうとしない広告主がいることが指摘されています(前掲報告書(案)50頁)。

 

 しかし、「表示内容の決定に関与した事業者」も(正確ではありませんが)広告主に当たるとされるのが通常です(東京高裁平成20年5月23日平成19(行ケ)5)から、その言い分はなかなか通らないといえるでしょう。


 また、通ったとすればそれは法の瑕疵という整理の下、今後はそのような主張が通らないように整備されていくことが予想されます。


 さらに、特定商取引法が適用される事業主にあっては、特定商取引法にも十分な注意が必要でしょう。

不当表示の未然防止策(景品表示法第 26 条に基づく事業者が講ずべき表示の管理上の 措置)


 報告書(案)の中で特に重要であって、今後の方針に大きく影響される記載は、「ごく一部の悪質な広告主への対応策のみを検討するだけでは、 アフィリエイト広告の表示全体の適正化に向けた対策としては不十分である。」としている箇所でしょう(前掲報告書52頁)。


 このような考えの下、次の方針を提案しています。



  • 指針におけるアフィリエイト広告の広告主が講ずべき措置に関する考え方の具体化の必要性
  • 具体化する考え方の対象となるアフィリエイト広告の範囲
  • 表示の管理等

 ① 表示等に関する情報の確認

 ② 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること

 ③ 表示等を管理するための担当者等を定めること

 ④ 表示等を管理するための担当者等に対する研修

  • 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

 ① 相談窓口の設置

 ② 問題があるアフィリエイト広告の是正・削除及び委託契約解除

  • アフィリエイト広告における「広告」である旨の表示
  • 指針に具体的な措置を記載するに当たって留意すべき事項等

不当表示の未然防止策(景品表示法第 26 条に基づく事業者が講ずべき表示の管理上の 措置)

指針におけるアフィリエイト広告の広告主が講ずべき措置に関する考え方の具体化の必要性


 景表法第26条1項のとおり、事業者は必要な措置を講じなければなりません。そして2項では、内閣総理大臣が指針を定めるべきとされています。


(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置) 第二十六条 事業者は、・・・内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定に基づき事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(・・・)を定めるものとする。 3~5 (略)

 現在の指針は、問題となるアフィリエイト広告は念頭に置かれていません。そこで、まずはこの指針を変え、アフィリエイト広告の広告主が講ずべき措置として具体化したものを明示する必要があると提案しています(前掲報告書53頁)。


具体化する考え方の対象となるアフィリエイト広告の範囲


 アフィリエイト広告が全般的に景表法の規制対象となるように注意しながら、指針によってその範囲を明確化すべきと提案しています(前掲報告書54頁)。

アフィリエイト広告表示の管理等


 アフィリエイト広告について、次の点を具体化すべきと提案しています。


  1. 表示等に関する情報の確認
  2. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること


 まず、アフィリエイト広告の広告主も責任を負うべきことを前提として、具体的には次のことを提案しています(前掲報告書(案)55頁)。


  • アフィリエイターとの契約で不当表示を行わない旨を締結すること。
  • アフィリエイト広告出稿前や出向後に表示内容を(広告主が)確認すること。


 特に契約の部分は、重要になると思います。場合によっては、契約書の結び直し(覚書でもよいと思います)が必要になってくるなど、実務に影響を及ぼすことが予想されるため、今後の動向に注目です。


 また、表示等の根拠となる情報を保管しておくことも提案しています。


 これは例えば化粧品等の効果に疑いが生じたときに事後検証をすることを見込nでいるのでしょう。アフィリエイト広告では、表示の根拠となるものとして例えばURLなどを記載しますが、これが永遠に続くとは限りません。


 そうすると、表示の根拠が見れない状態で消費者がその商品を選択する可能性があります。このことは、適切な商品選択に必要な「根拠はどこにあるの?」という消費者の疑問を解決できないこととなりますから、適切ではありません。


 そのような観点から、広告主が必要十分なパトロール等を行うことや、根拠の保管などが提案されています(前掲報告書(案)55頁)。

アフィリエイト広告表示等の管理者


 これはそのままです。アフィリエイト広告の管理者を定めておきましょうという話です。


 もっとも、そのような担当者は景表法関連の研修をあらかじめ受けていることなどの条件を設定し、これが満たされる者を充てるのが望ましいとしています(前掲報告書56頁)。


 消費生活専門相談員や消費生活相談員資格、又は最近創設されたようである景品表示法務検定(一般社団法人全国公正取引協議会連合会。当該連合会のページに飛びます。)などがよいでしょう。


 また、そのような資格を持つ専門家を設置しておくというのもありだと思いますので、そのような者を探している方は、当事務所までご連絡ください。

不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応


 提案の中にある「相談窓口の設置」というのは、中小企業などではなかなか難儀だと思います。


 これは、連絡がつかないなどの事業主がいたことを踏まえて提案されていると思いますが、人的資源とそのための費用を考えると、正直難しい事業主の方もいるかもしれません。


 さらに、問題があるアフィリエイト広告の是正・削除及び委託契約の解除をすることも望ましいとされています(前掲報告書58頁)。


 しかしアフィリエイト広告の是正・削除はまだしも、委託契約の解除については、そのこと自体がアフィリエイターなどとの間でトラブルになる可能性もありますから、なかなか難しいと想像します。


 そのような対応が得意な弁護士などをあらかじめ探しておくことも有効だと思います。

アフィリエイト広告における「広告」である旨の表示


 アフィリエイト広告については、消費者からみれば、広告主の広告か否かが判断できないため、アフィリエイト広告に関するトラブルは顕在化しにくいという実態があると指摘されています(前掲報告書(案)58頁)。


 この提案も実務に多大な影響を及ぼすことが予想されます。そもそも、アフィリエイト広告の根幹を覆すほどに重大かもしれません。


 いわゆるステルスマーケティング(広告であるにもかかわらず、広告 である旨明示しない行為)の手法が、厳しくなることが予想されます。

まとめ

今後の動向に注意しながら早めの対応を


 以上までの記載は、アフィリエイト検討会の提案にとどまるものであり、実際にこれが確定するかは現時点では未定です。


 しかし、だいたいこういうのは出来レースですから、実際には前掲報告書(案)のとおり確定し、進行していくものと思われます。


 そうすると、今後の消費者庁が打ち出す方針などに十分注意するとともに、駛馬の体制整備や組織作りが何より肝要だと思います。


 当事務所は消費生活相談員資格を持った行政書士がおりますので、お求めの方は下のお問い合わせボタンからお気軽にお問い合わせください。相談のみも大歓迎です。(ざっくばらんに情報交換する程度でも構いません。)

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