民事訴訟法改正案【IT化】

query_builder 2022/03/15
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 本年3月3日、自民党が次のように公表しました。


政府与党は今国会に、民事訴訟全体のIT化を柱とした民事訴訟法等の改正案を提出します。わが国の民事訴訟は、訴えの提起が書面の提出に限られる等、IT化が遅れていました。改正により、書類のやりとりや裁判への参加等がオンラインで可能になり、裁判の迅速化・効率化と利便性向上が見込まれます。自民党「民事訴訟のIT化へ」(https://www.jimin.jp/news/information/202898.html)から引用


 法制審議会民事訴訟(IT化関係)部会において詳細に練られ、大幅に制度が変わることとなるようです。(法制審議会についてこちらの当ブログはで若干説明しています。)


 私は行政書士ですから、民事訴訟の代理人になることはありませんが、制度を知ることは避けて通れませんし、本人訴訟等の場合には関わりますから、知ってて損はありません。


 特に今回の改正は、インターネットを用いてする申立てができるようになるという案が盛り込まれていますから、本人訴訟等をする人が増えるかもしれないのではと考えています。


<参考>

法務省「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する要綱案」(https://www.moj.go.jp/content/001365873.pdf

法務省「民事訴訟法等の一部を改正する法律案 新旧対照条文」(https://www.moj.go.jp/content/001368845.pdf

民事訴訟法の見直し

インターネットを用いてする申立て等


 まず初めに、民事訴訟法第132条の10について触れています。


 第1項の次の部分が削除されており、支払督促等も含めてインターネットで申立てすることができるようになるものと思われます。


旧第百三十二条の十
・・・ただし、督促手続に関する申立て等であって、支払督促の申立てが書面をもってされたものについては、この限りでない。


 また、第5項は次のように改められています。


旧第百三十二条の十
5 第一項本文の規定によりされた申立て等(督促手続における申立て等を除く。次項において同じ。)が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない
改訂案第百三十二条の十
5 電子情報処理組織を使用する申立て等がされたときは、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る送達は、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る法令の規定にかかわらず、当該電子情報処理組織を使用する申立て等によりファイルに記録された事項に係る電磁的記録の送達によってする


 エコですね。


 ちなみに、ファイル形式やファイル容量については、技術の進展に応じて最高裁判所規則等により、臨機応変に対応するようです(前掲要綱案5頁)。


インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合


 弁護士等の訴訟代理人については、上記のインターネットの利用は義務となる案となっています。


改訂案第百三十二条の十一
次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事件の申立て等をするときは、前条第一項の方法により、これを行わなければならない。・・・
一 訴訟代理人のうち委任を受けたもの(・・・) 当該委任を受けた事件


 え?パソコンが壊れたら?など、弁護士の先生方としてはシステムリスクも問題となってくるような気がします。


 もっとも、裁判所の使用に係るパソコン等の故障があった場合などは、書面での提出に切り替わることとなりそうです(改正案民事訴訟法§132条の11第3項)。


 ここにいう「その他その責めに帰することができない事由」に、弁護士の先生側のパソコンが壊れた場合が含まれるのかは、どうなんでしょう。正直、含まれない気がします。


 まぁ問題となる場面としては、期限ぎりぎりの提出となってしまったときにパソコンが壊れて提出期限に間に合わなかったときの責任問題くらいでしょうか。あまりそのような状況は生じないような気もしますね。

電磁的記録の送達


 インターネットを使えるようになったとして、じゃあそれはどうやって送達(相手に書類を送り届けること。)はどうするの?相手がインターネットを使うことができなかったら?ということが問題となります。


 改正案では、電磁的記録の送達は、特別の定めがある場合を除き、ファイルに記録された送達すべき電磁的記録に記録されている事項を出力することにより作成した書面によってするとしています(前掲要綱案7頁、改正案民事訴訟法§109条)。


 ただし、送達を受けるべき者がインターネットにより送達を受ける旨の届出をしている場合に限り、インターネットで送達を受けることができるとされています(改正案民事訴訟法§109条の2)。


 その際の送達の効力発生時期については、最高裁判所規則等で定める方法などにより処理されるようです(改正案民事訴訟法§109条の3各号)。一部、具体的には決まっていないようですね。

口頭弁論の期日


 口頭弁論についても、一定の条件下においてウェブ会議等により行うことを認めるような案となっています。


 現在でも、弁論準備手続においては、当事者が遠隔の地に居住しているときなどの場合には、当事者の意見を聴いて、一方が出頭したときは通話などによって行うことが認められています(現民事訴訟法§170③)。


 現在では口頭弁論期日には、当事者または代理人弁護士が法廷に出頭する必要があります(第1回期日は例外あり。参考)。


 これを、裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信に より相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によ って、口頭弁論の期日における手続を行うことができるとされています(前掲要綱案9頁)。

証人尋問


 証人尋問についても、当事者に異議がない場合には、ウェブ会議方式が認められるという案となっています(改正案民事訴訟法§204三)。


 もっとも、弁護士の先生として、異議がない場合があるのかはちょっと興味があります。


 私は弁護士ではないので証人尋問をしたことはありませんが、直感的に、やはり当事者と同じ場にいて感じる空気というのがあるのではと感じるからです。


 この辺りについて、法改正があった場合の実運用については、関心を持っています。

まとめ

民事訴訟のIT化


 そのほかにも細かく規定されていますが、概ね民事訴訟のIT化との観点からざっくりと関係がある点をまとめてみました。


 実際に国会で成立した場合には、その後の実務に大きな影響を与えることとなるでしょうから(私は行政書士なので民事訴訟手続には関与できませんが)、今後の動向に注目です。

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