有利誤認?正当な表示?
事業活動において、広告は生命線でありますところ、その表示の方法については不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」といいます。)による規制を受けます。
本年3月9日、消費者庁は、消費者被害防止ネットワーク東海とファビウス株式会社との間の訴訟胃に関する控訴審判決について公表し、事業者側が控訴審において勝訴したとのことです。
広告作成担当者にとって非常に重要な判決と思われますので、見ていきたいと思います。
<参考>
消費者庁「消費者被害防止ネットワーク東海とファビウス株式会社との間の訴訟に関する控訴審判決について」(https://www.caa.go.jp/notice/entry/027796/)
消費者被害防止ネットワーク東海「ファビウス株式会社(旧株式会社メディアハーツ)に対する差止請求訴訟の経過」(https://cnt.or.jp/topics/post-3325.html)
ファビウス「定期通販広告に対する差止請求訴訟(控訴審)に関する当社勝訴判決のお知らせ」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000022159.html)
通販新聞「名古屋高裁、ファビウスが二審も勝訴、継続条件「容易に認識」」(https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=5967)
事件の概要
概要について
本件は、適格消費者団体(消費者契約法第2条第4項によって、消費者の利益保護のために差止請求権を行使するためすることができる団体として、内閣総理大臣の認定を受けた法人をいいます。)である消費者被害防止ネットワーク東海が、事業者の定期購入契約の表示が有利誤認(景品表示法§5二)に当たるとして、その表示の差止めを求めた事案です。
裁判上の争点
裁判上の争点は、このように定期購入する際の初回の購入金額を定額で表示する行為が、景品表示法第30条第1項第2号にいう有利誤認表示に当たるのか否かとされました。
第三十条 (略)
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
ちなみに、原告や平成29年3月から約1か月で、100件の相談のうち、「解約が許されない期間があるとは気づかない」という相談が54件あり、かつ、実際に申込者300名のうち54名(約18%)が誤認したと主張しています。
原告の主張
本件契約を初回1回だけの契約であると誤認する
判決文に記載されている原告の主張によれば、
- 初回を含め最低4回(4か月)以上のご継続がお申し込みの条件です。
の記載が、「630円」や「84%OFF」の記載の9分の1以下であり、重要性を認識しづらく見落としやすく、「初回分だけ(630円だけ)を購入できない」と表示されているとは言えないという主張がされています。
つまり、消費者がこれを見たときに、中途解約できると理解できないという主張です。