景品表示法検討会(第1回)を見て
本年4月13日に消費者庁は、本年3月16日に行われた第1回景品表示法検討会の議事録を公表しました。
この議事録には、現在の不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」といいます。)の概要から、現時点での問題点が簡潔に述べられており、有意義であると感じましたので、ちょっと見ていきたいと思います。
<参考>
消費者庁「第1回 景品表示法検討会(2022年3月16日)」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_004/027827.html)
消費者庁「景品表示法検討会第1回 議事録」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/assets/representation_cms212_220413_07.pdf)
景品表示法の概要
景品表示法の目的
特にわかりやすくまとめられているなぁと感じたのが、景品表示法の概要です。
まず、景品表示法の目的について、条文は次のとおりです。
(目的)
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
これについて消費者庁伊藤長官は、次のとおり述べています。
消費者は、きちんとした情報を与えられて、それからそれを選択するという権利があります。
景品表示法の目的である一般消費者による自主的かつ合理的な商品サービスの 選択を確保するためには、表示が適正であるということが極めて重要であります。
前掲議事録3頁から引用
そして、この目的を達成するために禁止されるのは何かという点について、次のとおり述べられています。
あくまで禁止されるのは、不当表示、あるいは過大な景品ということで、不当な顧客誘引によって、選択が歪められる消費者の選択を守るという 法律になっております。
ポイントは、不当か、不当な顧客誘引と言えるかどうかというところでございます。前掲議事録6頁から引用(太字下線は筆者加筆)
不当、不当な顧客誘引といえるもの
この不当、不当な顧客誘引といえるものとしては、3つに分かれています。
- 優良誤認(景品表示法§5一)
- 有利誤認(景品表示法§5二)
- その他必要に応じて行政が不当表示と定めるもの(景品表示法§5三)
優良誤認は、商品の内容が著しく優良であると一般消費者に誤認される表示です。
他方で、有利誤認は、取引条件・価格・数量などです。つまり「この商品はほかと比べてお得だね!!」ということを、事実でないのに表示するか、または事実であるけれどもそれはやりすぎだろというレベルの表示をしてしまうことです。この点については、次のように述べられています。
ちなみに、今日は説明を省略させていただきますが、本資料の末尾の方に、これまでに景品表示法の解釈が示された判決をいくつか掲載しております。その中で先ほど、不当な顧客誘引を禁止するのだという話を申し上げましたが、不当であるというところが禁止規定ではどこで生かされているのかと言いますと、優良誤認、有利誤認については、いずれも「実際のものよりも著しく優良」、「実際のものよりも著しく有利」というのが要件となっておりまして、この「著しい」というところが、ある意味不当性を示す要件となっております。前掲議事録7頁から引用
そして次のようにコメントが加えられています。
ここは判決におきまして、およそ広告というものは、ある程度の誇張はあるでしょう、それはなんとすれば宣伝活動のようなものだから。
しかしながら、その誇張が社会的に許容される程度を超える虚偽誇大に至ると、それは「著しい」に当たるという判決が出されておりまして、要は社会常識から見て、これはさすがにあり得ないのではないか、そういう虚偽誇大表示が、「著しく」優良又は有利であると判断されるということになっております。
したがいまして、表示と実際にほんの少しでも乖離があれば、何でもかんでも不当表示かというと、そういうことではないということは御理解いただければと思います。前掲議事録7頁から引用(太字下線は筆者加筆)
太字下線は、意外と重要な認識です。なぜなら、ここを勘違いして「事実と異なれば不当表示である!」とおっしゃる方も散見されるからです。
皆様におかれましては、この点は間違いないように正確な理解をすべきでしょう。
景品表示法検討会がする問題提起
続いて、景品表示法検討会がする問題提起は、次の点です。
- 高齢化が進展し、かつ単身世帯、いわ ゆる孤立化が進んでいる。
- 成年年齢が引き下げられ、法定代理人による取消権の範囲が狭まる。
- インターネットの進展による正当でない表示の乱立・グローバル化
さて、もともと景品表示法は、昭和37年に制定されたものであって、制定から60年経過しています。当時はインターネットはありませんでしたが、昨今の目まぐるしい発展に伴ってインターネットが充実し、そこでの取引というものが非常に増加しています。
そうすると景品表示法は特に、体験談、口コミレビュー、アフィリエイト広告などが気になる点として浮かび上がってくるという流れになっているようです。
まとめ
景品表示法改正に至るか注目
景品表示法検討会が、法改正を行うという結論を出すのかは、注目に値します。
先ほど述べたとおり、制定から60年が経過していて、実態と大きくかけ離れた部分もありますから、そこをどのように調整するかといった具合でしょう。
今後の動きに注目です。
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