小規模事業者持続化補助金
本年5月11日、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の第6回受付締切分の採択一覧者が公表されました。
経営計画・補助事業計画の作成に携わった2件が無事に採択され、ほっとしているところであります。
さて、小規模事業者持続化補助金は、数ある補助金の中でも比較的なじみやすいことで有名です。
一体、どのような補助金なのでしょうか。なお、ここでは小規模事業者持続化補助金の一般型について触れていきたいと思います。
<参考>
商工会議所築「令和元年度補正予算・令和3年度補正予算小規模事業者持続化補助金」(https://r3.jizokukahojokin.info/index.html)
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が自社の経営を 見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生 産性向上の取組を支援する制度です。これは、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)に基づいて実施されます。
また、今回からは新たに次の類型が新設されましたので、幅広く小規模事業者のニーズに応えることができるでしょう。
類型 | 概要 |
賃金引上げ枠 | 販路開拓+(最低賃金+30円以上) |
卒業枠 | 販路開拓+従業員6人(又は21人)以上 |
後継者支援枠 | 販路開拓+アトツギ甲子園のファイナリスト |
創業枠 | 販路開拓+特定創業支援等事業 |
インボイス枠 | 販路開拓+インボイス発行事業者に登録 |
補助率等はインターネット上で簡単に調べられ、どのサイトでもご覧いただくことができる状況になってますね。
小規模事業者持続化補助金の審査基準
やはり、小規模事業者持続化補助金の申請が採択されるか否かというのが一番の関心ごとだと思います。
この点、公募要領を見ると、次のように記載されています。
補助金の採択審査は、提出資料について、下記「審査の観点」に基づき、有識者等により構成される審査 委員会において行います。(24頁)
①必要な提出資料がすべて提出されていること
②「2.補助対象者」(P.5)・「3.補助対象事業」(P.6) ・「4.補助率等」(P.7)の要件に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること(24頁)
①自社の経営状況分析の妥当性
○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
③補助事業計画の有効性
○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
○地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成する ために必要かつ有効なものか。(共同申請の場合:補助事業計画が、全ての共同事業者における、 それぞれの経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要か。)
○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
○補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
④積算の透明・適切性
○補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
○事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。
多すぎて正直、慣れていないと訳が分からないと思います。特に外してはいけないのは、むしろ次の点ではないかと考えます。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第6条
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第6条1項には、「各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があつたときは、・・・、補助金等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。」と定められています。
そこで、どのようなときに補助金等を交付すべきものと認められるかは、同項にある程度記載があります。
- 申請に係る書類等の審査
必要に応じて行う現地調査等
補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないか
補助事業等の目的及び内容が適正であるか
金額の算定に誤がないかどうか
特に、補助事業等の目的及び内容については、国会のやり取りなども少なからず影響があるように思います。
第208回国会予算委員会
第208回国会の予算委員会第13号・第16号では、インボイス制度による小規模事業者の影響が審議されており、その中で鈴木国務大臣が次のように発言しております。
・・・さらに、令和三年度補正予算におきましては、IT導入補助金により、インボイス制度も見据えた中小・小規模事業者のデジタル化によります事務負担の軽減、また、持続化補助金により、インボイス発行事業者となる小規模事業者の販路開拓などを支援することといたしております。 今後とも、制度の円滑な移行に向けまして、関係省庁で連携をしながら、これからの支援策や制度の周知、広報を始めとした取組を丁寧に進めてまいりたいと考えております。
また、第12号等では小規模事業者持続化補助金の不正受給の件で、激しい議論が繰り返されています。羽生田国務大臣は、この点について、次のように述べています。
例えば、持続化給付金で大変不正事案が多かったのはすごく残念なんですが、圧倒的多くが、やはり商工会議所の会員さんや商工会の会員さんじゃない人たちなんですね。逆に言えば、あそこのアパートの二階にそんな会社があったのかということは、本当は、地元の人に聞くとよく分かる案件がたくさんありました。したがって、日頃から会員拡大にも努力をしていただくこと。 それから、中小企業者の皆さんに寄り添うのと、言うならば無理をして助けるのは、これは違うわけですから、ちゃんとその能力に合った指導をしていただいて、しっかりサポートしていただくということを今お願いしています。 今御提案のあったことは極めて重要な視点だと思いますので、今後の様々な指導の糧にしてまいりたいと思います。
全体的にザーッと目を通しておくと、小規模事業者持続化補助金ではどのような問題提起がされているのかを知ることができます。
例えば公募要領には繰り返しのように「経営者自らが策定し」とか「創意工夫がなされているか」などのように、いわゆる補助金が出ればOKというような事態を防ぎたい思惑が見え隠れしています。
まとめ
ちょっと変わった視点から
「小規模事業者持続化補助金 書き方」などと調べると、いろんなホームページが出てきて、書き方なども色々出てきます。
私がお勧めするのは、やはりご自身で箇条書きでもいいから書いてみるということです。書面に落とし込むと、自身の考えが論理的か、妥当か、矛盾していないかなどを確認することができます。
頭の中にある想像を具体化するという作業は、結構重要です。その際には、公募要領などを読むことはもちろんのこと、国会での審議や制度背景にも触れると、どのような場合に補助金が充てられるのかを感覚的につかむことができると思いますし、補助金交付後も、その意識に基づいた経営を行うことができると思います。
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