【望ましい表示?】アフィリエイト広告です!
本年5月13日、消費者庁は、次の改正及び改定(以下「改正等」といいます。)案に関する意見募集をする旨公表しました。
- 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針
インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項
これは、アフィリエイト広告検討会の報告書なども踏まえた改正等とされています。(詳しくは当事務所過去のブログをご参照ください。)
すなわち、「アフィリエイト広告等に関する検討会報告書」において、次の報告がなされました。
- 広告主(商品・サービスの供給を行う事業者)によるアフィリエイトプログラムを利用した成果報酬型の広告が多く見られること。
- 指針の適切かつ有効な実施を図る必要があること。
- そのためにも、管理上の措置指針に当該広告の広告主が講ずべき措置として具体化したものを明示する必要があること。
これらを踏まえ、消費者庁では、管理上の措置指針改正案を作成するとともに、当該指針の改正案等を受けて、インターネット留意事項改定案を作成したと述べています(後掲消費者庁「意見募集について」)。
このうち特にインターネット留意事項については、望ましい表示の仕方が図示されていますので、アフィリエイト広告やポイントサイトを運営する事業者は、お目通しいただくと意義があると考えます。
<参考>
消費者庁「「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」・・・意見募集について」(https://www.caa.go.jp/notice/entry/028668/)
消費者庁「管理上の措置指針(改正箇所)」(https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000235718)
消費者庁「インターネット留意事項(改定箇所)」(https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000235720)
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針
基本的な考え方
不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」といいます。)26条1項には、事業者の管理体制義務が定められています。
(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置)
第二十六条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、・・・景品類の提供に関する事項及び・・・表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
この点、取引関係はあるが表示を行っていない事業者(以下「取引関係事業者」といいます。)については、従来では直接的にはこの措置を求めるものではないとされていました。
しかし、今回の改正では、次の一文が追加されています。
しかし、取引関係事業者が、当該表示等を行う事業者から当該表示等の作成を委ねられる場合には、当該表示等を行う事業者は、自らの措置の実効性が確保できるよう、取引関係事業者に対し、自らの措置についての理解を求め、取引関係事業者が作成する表示等が不当表示等に該当することのないよう指示することが求められる。(前掲管理上の措置指針(改正箇所)1頁)
つまり、広告を外注する場合には、自社の講じている措置について外注先に理解を求め、その外注先が作る物が不当表示に該当しないように指示することが求められます。
「これは外注先が勝手に作ったからうちは知ったこっちゃない」ということを防ぐための一文であると読み取れるでしょう。
景品表示法の考え方の周知・啓発
上記のことから、まず、事業者は、自社の役員及び従業員にその職務に応じた景品表示法の周知・啓発を行うことが求められます。
加えて、次の一文が追加されています。
また、一般的に事業者が行う表示等の作成に当該事業者以外の複数の事業者が関係する場合、そうでない場合に比べて、景品表示法の考え方を関係者間で共有することが困難になり、結果的に不当表示等が生じる可能性が高くなることも踏まえ、事業者が表示等の作成を他の事業者に委ねる場合、当該他の事業者に対しても、その業務に応じた 周知・啓発を行うこと。(前掲管理上の措置指針(改正箇所)3頁)
こちらも、上記同様「うちじゃないから知らない」と言わせないための一文でしょう。このような周知・啓発の求めは、法令遵守の方針等の明確化にもほぼ準用されています。
また、一般的に事業者が行う表示等の作成に当該事業者以外の複数の事業者が関係する場合、そうでない場合に比べて、法令遵守の方針等を関係者間で共有することが困難になり、結果的に不当表示等が生じる可能性が高くなることも踏まえ、事業者が表示等の作成を他の事業者に委ねる場合、当該他の事業者に対しても、その業務に応じて法 令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化すること。(前掲管理上の措置指針(改正箇所)4頁)
事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の具体的事例
消費者庁が掲げる事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の具体的事例には、アフィリエイターとの間で契約書において、どの主体が何を行うかについて、明記するなどの対応を行うことが考えられると指摘しています(前掲管理上の措置指針(改正箇所)別添1頁)。
また、アフィリエイター等に対しても景品表示法の考え方を周知・啓発すべきとしています(同上)。
今回の改正案では、やはりアフィリエイターに関する措置が及ぶようにしなさいという消費者庁の心理が読み取れるでしょう。
最も影響がある改正点は、次のとおり「アフィリエイト広告を行う事業者の表示であることの明示」でしょう。
前掲管理上の措置指針(改正箇所)別添10頁から引用
同上
2こ目の図はおそらくツイッターなどを想定していると思われますが、一番最初に「(広告)」と書くのが望ましいとされています。
ぶっちゃけ、現実的ではないと思います。・・・というご意見が国民から寄せられるのではなかろうかと想像しています。
インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項
アフィリエイトプログラム
インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項の改定案は、アフィリエイト広告について追記がなされています。
例えば問題となる事例には、次の2点が追加されています(前掲インターネット留意事項(改定箇所)4頁)。
- アフィリエイトサイトにおいて、十分な根拠がないにもかかわらず、「医療関係者も勧め る『フサフサになった育毛剤』がヤバイ!」等と表示すること。
- ソーシャルネットワーキングサービスへの投稿において、十分な根拠がないにもかかわらず、「バストアップが目標!!目に見える効果が出る!」、「#バストアップサプリ」等と表示すること。
これを見てみると、相当やばい(社会通念上看過することができない)レベルの表示を特に重視しているようにも読み取れます。
消費者庁としても、これらの点について問題視しているようですから(詳しくはアフィリエイト広告検討会の報告書に委ねます。)、どの程度まで事業者が対策を取るかは、検討を要するものと思われます。
まとめ
目的は悪質な業者を排除するため
今回の改正等の目的は、悪質な広告を排除することが、報告書にちりばめられています。
そうすると、普通の事業者の活動を委縮させることは、本来の目的とは合致しませんから、消費者庁による摘発についても、そのような悪質な事業者のみが焦点になると思います。
事業者が講じなけれならない措置(景品表示法§26①)についても、自ら過度に自制することは、広告担当部署や担当者に大きな負担となってしまいますから、自社の事情をよく観察した上で、景品表示法の考え方に反しない程度に柔軟に設定するのがよいでしょう。
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