大麻規制検討小委員会の設置【厚生労働省】

query_builder 2022/05/20
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 厚生労働省において、大麻規制検討小委員会が設置され、本年5月25日に第1回検討会が開催されるようです。


 検討内容は、大麻取締法等の施工状況と課題についてとなっています。


 主な議題となるのは、次の点です(後掲厚生労働省「改正議論」)。


  1. 覚せい剤事犯に対する対策
  2. 大麻等の規制の見直し


<参考>

厚生労働省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuhin_436610_00005.html

厚生労働省「大麻規制検討小委員会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25666.html

厚生労働省「大麻規制検討小委員会(仮称)の設置について(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000924915.pdf

厚生労働省「大麻取締法・麻薬及び向精神薬取締法改正議論」(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000925329.pdf

厚生労働省地方厚生局麻薬取締部「CBD(カンナビジオール)を含有する製品について」(https://www.ncd.mhlw.go.jp/cbd.html

大麻規制検討小委員会

設置の趣旨


 大麻規制検討小委員会の設置の趣旨は、主に次の点であるとされています(前掲厚生労働省設置案)。


  • 若年層を中心とした大麻事犯の増加
  • 諸外国における大麻から製造された医薬品の医療用途への活用等の国際的な動向を踏まえた今後の薬物対策のあり方


 各論としては、次の点が検討事項として掲げられています。


  • 薬物事犯の現況・国際条約の動向・諸外国の規制(スケジュール変更)
  • 国内・海外の大麻草の品種や系統、部位と成分
  • カンナビナイド(成分)の種類と毒性・医療上の有用性
  • 栽培の状況や用途の現況と今後の取扱者免許制度
  • 大麻草由来製品の成分規制
  • 大麻の使用規制と生体影響
  • 諸外国と日本の大麻所持・使用規制
  • 薬物中毒・依存症の治療の現状と今後 等

大麻等の薬物情勢


 覚せい剤事犯については、次のとおり整理されています。


  • 平成31年、令和元年に引き続いて令和2年も1万人を下回った。
  • ただし、再犯率は14年連続で増加し、過去最高を更新した。


 また、大麻事犯については次のとおりです。


  • 令和2年の検挙人員は、7年連続増加の5,260人であって過去最高
  • 検挙人員の約65%が30歳未満


 覚せい剤については再犯率が問題となっており、大麻については若年層の乱用が問題となっています。

大麻の規制の見直し?


 このような状況の中、計8回行われ、昨年6月25日に取りまとめが公表された「大麻等の薬物対策のあり方検討会」において、検討会において何を検討すべきか等については次の基本的方向性が示されています。


  • 大麻草の部位による規制から成分に着目した規制への見直し
  • 大麻から製造された医薬品の施用に関する見直し
  • 大麻の「使用」に対する罰則の導入
  • 再乱用防止と社会復帰支援の推進


 大麻における法規制は、日本と諸外国では大きく異なっています。日本における大麻とは、大麻取締法(昭和23年法律第124号)1条で定められています。


第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。


 厚生労働省の図示が分かりやすいと思います。


前掲厚生労働省「改正議論」3頁から引用


 このうち、カンナビジオール(CBD)の取り扱いについて、昨今議論が活発になっているようです。

カンナビジオールとは


 カンナビジオールとは、麻などの植物やオレンジの皮などから抽出される植物由来成分であって、体の恒常性を整えるとして、世界中の国々で医療や健康分野への活用が期待されています(神田西口クリニック様のホームぺージから引用。説明もわかりやすいです)。


 カンナビジオールはオイル、ペットフード、プロテインなどに含有されて販売されることもあり、上記のとおり体に対する良質な作用を期待される場合が多いようです。


 他方、厚生労働省の麻薬取締部においては、カンナビジオールが含まれる製品を輸入する際には、確認がなされます。


 理由は、大麻取締法上の大麻に該当するか否かを確かめるためです(前掲麻薬取締部)。大麻に該当してしまう場合とは、テトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれているときです。仮に輸入した場合に、テトラヒドロカンナビノールが検出された場合には、大麻取締法に基づいて処罰を受ける可能性があります。


 この、処罰可能性と実務の間で溝が生じているようであり、その溝を埋めるために検討会において大麻の規制の見直しが行われるという次第のようです。下図論点4に当たりますね。


前掲厚生労働省「改正議論」4頁から引用

まとめ

現状と今後の展開


 現在、特にカンナビジオールについては、市場も混乱しているようです。産経新聞の記事を引用します。


 食品や化粧品などを中心に、急速に流通し始めた大麻草抽出成分の「カンナビジオール(CBD)」。炎症の鎮静やリラックス効果があるとされる一方、健康被害に関する相談が増えている。違法な成分が混入される事例も確認されており、厚生労働省は「販売元をしっかりと確認した上で購入してほしい」と注意を呼びかけている。産経新聞「本当に安全?大麻草抽出成分「CBD」入り製品の流通加速」から引用


 テトラヒドロカンナビノールが含有されている場合には、幻覚作用等によって身体に悪影響を及ぼすからでしょうか、厚生労働省としては、その取扱いは極めて慎重に行ってほしいという姿勢がうかがえます。


 他方で、欧米ではすでにカンナビジオールを含有した難治性てんかんの治療薬が承認されており、日本でも臨床試験を実施するという見通しもあるようです(前掲産経新聞)。


 このように、現行法と実務の間で生じている溝について、どのようにそれを埋めていくのかなどが今後、検討されるでしょう。


 実務担当者としては、今後の動きにも十分な注意が必要です。

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