悪質な住宅リフォームに関する消費者トラブル

query_builder 2022/06/24
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 本年6月22日、消費者庁から、訪問販売・電話勧誘販売による住宅リフォーム工事のサービス提供時の過量販売規制に関する考え方などが公表されました。


 これは、リフォームにおいては工事の箇所も多ければ、工事中に「ここも直した方がいいんじゃないですかねぇ?」というようなことも(良し悪しは別として)あり、悪徳業者による消費者被害も発生しているとのことです。


 今回は、どのような考え方が公表され、一般消費者の方はどのような点に注意すれば、消費者被害を防げるのかについてみていきます。


<参考>

消費者庁「訪問販売等による悪質な住宅リフォームに関する消費者トラブルへの対策について(特定商取引法の通達改正・チラシの公表)」(https://www.caa.go.jp/notice/entry/029218/

消費者庁「訪問販売又は電話勧誘販売における住宅リフォーム工事の役務提供に係る過量販売規制に関する考え方」(https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms202_220622_05.pdf

リフォーム工事販売の法規制

概要


 リフォーム工事に関する消費者被害を正確には捉えられませんが、参考として消費者白書を見てみましょう。


消費者庁「令和3年度消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」20頁から引用


 工事・建築・加工・土地・建物・設備を合計すると、3.9万件の相談を受け付けているようです。割合にすると全体のおよそ6%を占めます。



 ところで、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」といいます。)には、過量販売規制(日常生活で通常必要とされる分量をかなり超える量の契約の勧誘等の禁止)が導入されたのは、訪問販売によって消費者がリフォーム工事の契約を次々と結ばされる事案が契機とされています(前掲消費者庁考え方1頁参照)


 過量販売規制とは、どのようなものなのでしょうか?

特定商取引法の過量販売規制とは?


 特定商取引法では、次のように定めています。


(指示等)
第七条 主務大臣は、・・・次に掲げる行為をした場合において、・・・購入者・・・の利益が害されるおそれがあると認めるときは、・・・保護を図るための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一~三 (略)
四 正当な理由がないのに・・・日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品・・・の売買契約又は日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えて役務の提供を受ける役務提供契約の締結について勧誘すること・・・
五 (略)
 2 主務大臣は、前項の規定による指示をしたときは、その旨を公表しなければならない。


 かなり省略しているため、正確な条文は原文に当たっていただければ

幸いです。ここでは、正当な理由がないのに日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える契約の勧誘はしてはいけないという点を把握していただきたくて、このような省略をいたしました。(同様の条文は特定商取引法22条1項4号電話勧誘販売)にもあります。)


 また、特定商取引法施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)6条の3には、それぞれ次のような規定があります。


(顧客の財産の状況に照らし不適当と認められる行為)
第六条の三 法第七条第一項第四号の主務省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 正当な理由がないのに・・・分量がその日常生活において通常必要とされる分量を著しく超えることとなること又は・・・分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えることとなることを知りながら勧誘すること。 二 正当な理由がないのに・・・分量がその日常生活において通常必要とされる分量を既に著しく超えていること又は・・・分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を既に著しく超えていることを知りながら勧誘すること。

 つまり、この取引ではそこまで過量な販売となるわけではないものの、その消費者が既に持っているものも合わせたときに過量となることを知りながら勧誘したりすることも規制されています。

仙北市「消費生活」(https://www.city.semboku.akita.jp/citizens/syouhiseikatu/karyou/index.html)から引用

リフォーム工事を検討するときの注意点

リフォームの勧誘を受けた場合は、その場で即決しない!


 その場で即決しないというのは、大事です。口頭でも契約は成立します(民法§522)から、「こういうことは配偶者と一緒に決めることにしてるんです」とか「子供と相談することにしてますので」などと言って断りましょう。

しつこく勧誘される場合には、きっぱり断る!


 お家に訪ねてきた業者は、消費者が断ったにも関わらず勧誘を続けることはできません(特定商取引法§3の2②)。まずはきっぱり断ることが大切です。


 電話においても同様で、断ったにもかかわらず勧誘をしてはなりません(特定商取引法§17)。電話の場合には、録音機能があるとベストです。できれば、録音している旨も伝えるとよいでしょう。

対応に困ったら、一人で悩まず相談を!


 消費者ホットライン188(いやや!)などに電話しましょう。身近な消費生活相談窓口につながります。


 また、リフォームについては、住まいるダイヤルというダイヤルがあります。公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが行っているようです。


消費者庁「悪質な住宅リフォームの訪問販売に御注意ください」(https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms202_220622_11.pdf)から引用

まとめ

まとめ


 訪問販売などの不意打ち性のある勧誘は、とにかくきっぱり断ることが大事です。それにより、様々な法的効果が生じます。


 断るのが苦手な方は、対面せずインターホン越しでなら断れることもありますので、なるべく対面しないようにしましょう。


 また、万が一何かあった際には、消費者ホットラインなどに電話したり、弁護士などの専門家に相談するのもよいでしょう。


 一人で悩まず、色々と聞いてみるのも、消費者被害を防止する手段の一つです。

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