送り付け商法の注意喚起
本年7月14日、国民生活センターは、一方的な海産物の電話勧誘販売・送り付け商法のトラブルが急増していると公表しました。
消費者庁「急増!海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブル」(https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20220714_1_lf.pdf)
親切心や同情心に付け込むこの商法について、見ていきましょう。
<参考>
国民生活センター「急増!海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブル」(https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220714_1.html)
海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブル
相談事例1
全国の消費生活センター等に寄せられた相談例を見ていきましょう。
こちらの事例は、電話による勧誘です。
・昨年12月の初めに自宅に電話があり、高齢の母と私で対応した。
・「新型コロナウイルスの影響で商品が売れず支援してほしい」と言われ、勧められた海鮮の詰め合わせ約1万8,000円を申し込んだ。
・12月の終わりに再度事業者から電話があり、配送手続きの確認をされた。
・数日後、代引配達で荷物が届いたので、受け取って中を確認したら、ズワイガニ爪、鮭、数の子松前漬け、ホタテ貝柱、イカ一夜干し等が入っていたが、値段相当とは思えない質の悪い商品だった。
・品物には手を付けず、そのまま冷凍している。
・商品に契約書が同梱されていたが、クーリング・オフに関する記載はない。
・また契約日は11月の日にちが記載されているが、電話がきたのはもっと後だと思う。
・クーリング・オフできないか。
相談事例2
次の相談事例は、「買ってもらわないと困る」と電話で強引に勧誘されたというものです。
・スマートフォンに知らない番号から電話があり、出ると男性が勢いよく話し始めた。
・遠方の事業者のようだったが店名を聞き取ることができなかった。
・「10 年ほど前にも当店でお買い上げいただいたので、当時のリストを見て電話している。このご時世で経営が苦しいので、今回は鮭、イカ、ホタテ等特別によい物をたくさん入れて、送料込み1万 4千円にする。支払いは代引きで、来月以降の発送になる」と勧誘された。
・私の住所も知っているようだったが、10 年前は違う場所に住んでおり、海産物を買った覚えもなく不審だった。
・しかし男性に「ここまで頑張って案内したのだから買ってもらわないと困る」と恐い口調で言われ、思わず「いいですよ」と言ってしまった。
・やはり断りたいが、どうしたらよいか。
相談事例3
こちらも、電話による強引な販売事例です。
・先月突然電話がかかってきて80歳代の母が電話に出ると、「いつものように送ります」と言わ れた。
・母は以前注文した事業者からの電話だと思って対応していたが、「よい品物だ」と繰り返して強引に勧めるので不審に思い、「不要だ」と伝え電話を切った。
しかし3日前、断ったはずの海産物が代引配達で届き、母親はどうしたらよいか分からず代金2万 7千円を支払って受け取ってしまった。
海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブルの対応策
断る
断りましょう。このような強引な売り文句には「コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」というものが多いことが指摘されています。
断るのが苦手な方は、「録音してもいいですか」と一言言ってみましょう。意外と、そこで電話を切る業者は多いです。
電話勧誘は、クーリングオフできる場合があります。
電話勧誘販売は、特定商取引法(特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)。以下同じ。)16条から25条に定められた販売方法であり、クーリングオフができる場合があります。
一般的には、特定商取引法に定める書面を受
け取った日から数えて8日以内であれば、書面又はメール等によってクーリングオフが可能です。
一方的に届いた商品は受け取らない!受け取っても代金支払いは不要です。
令和3年7月6日以降、特定商取引法が改正され、一方的に送り付けられた商品は直ちに処分可能です。
これは、特定商取引法59条1項によるものです。
(売買契約に基づかないで送付された商品)
第五十九条 販売業者は、申込者等以外の者に対して売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合又は申込者等に対してその売買契約に係る商品以外の商品につき売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合には、その送付した商品の返還を請求することができない。
2 前項の規定は、その商品の送付を受けた者が営業のために又は営業として締結することとなる売買契約の申込みについては、適用しない。
改正前までは、一定の日数(14日又は7日)が経過しなければ処分できませんでしたが、まぁそんな悪徳業者に配慮する必要ないよねということで、即時処分が可能となりました。
さらに、特定商取引法59条の2には、次のように定められています。
第五十九条の二 販売業者は、売買契約の成立を偽つてその売買契約に係る商品を送付した場合には、その送付した商品の返還を請求することができない。
つまり「もう契約成立したじゃないか!引き取ってくれないと困る!」などと言って一方的に商品等を送ってきても、送り付けられた消費者はそれを返す必要がないということです。
まとめ
お近くの消費生活センター等への相談も有効です。
最近は、消費者保護のために頻繁に法改正がされています。これにより、概ね特定商取引法や消費者契約法によって、何とかなる場合がないではありません。
もちろん、証拠が必要であって、例えば契約書を保管しておくとか、録音をしておくなども必要なことは言うまでもありません。
その辺りについても、消費生活センター等にご相談されると、説明してくれるはずです。
発生する事件に応じて、悪知恵の働く悪徳業者は、次々と新たな手法を編み出して、暴利を得ようとします。コロナウイルスを理由にした悪徳商法も、このうちの一つです。
今後は豪雨による床下浸水、瓦屋根等の悪徳商法の時期になりますから、逐一、消費者庁や国民生活センターから発せられる情報を取りに行くことで、予防することができます。
このブログでも、なるべくそういった情報をお届けするように努めていきたいと思います。
消費者庁「一方的に送り付けられた商品は直ちに処分可能に!!」(https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms202_210629_03.pdf)から引用
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