脱毛エステにご用心!

query_builder 2022/08/09
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 本年7月21日、国民生活センターから「脱毛エステの相談が多く寄せられている」旨の注意喚起が公表されました。


 さらに2020年度からは、男性の相談も増加しているということで、この点強調して注意喚起がなされています。


<参考>

国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ<No.12>】男性も増加!脱毛エステのトラブル」(https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220721_1.html

消費者庁「特定継続的役務提供」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/

国民生活センター「クーリング・オフ」(https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html

脱毛エステ

脱毛エステの法的位置づけ


 脱毛エステとは、一般に、光脱毛機器を使って肌に光を照射し毛根にダメージを与えて毛の発育を阻止するものとされることが多いようです。


 なお、「医療」による脱毛と「エステ」による脱毛があり、今回問題となっているのは後者の方です。


 さて、この脱毛エステも実は、一定の要件を充たせば、法律による制限がかかります。


 その法律とは、特定商取引法(特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)。以下同じ。)です。特定商取引法第4章には「特定継続的役務提供」について章立てされており、特定商取引法41条2項には「特定継続的役務とはどのようなものか」ということが定められています。


 そして、脱毛エステは特定商取引法上の「特定継続的役務」略して「特役」に該当するとされています。

特定商取引法における特定継続的役務とは?


 特定継続的役務とは、次のうち政令で定めるものをいいます。


  • 国民の日常生活に係る取引において
  • 有償で継続的に提供されるサービスであって
  • 次の両方に該当するもの


  1. サービスの提供を受ける者の身体の美化・知識・技能の向上その他のその者の心身・身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの
  2. サービスの性質上、上記記載の目的が実現するかどうかが確実でないもの


 そして、政令で定めるものの中には「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと」が定められており、これに脱毛エステが含まれると解されています(特定商取引法施行令§12、別表第4)

特定商取引法における特定継続的役務「提供」とは?


 少しややこしいですが、上記の特定継続的役務を、一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取って提供することを特定継続的役務「提供」といいます(特定商取引法§41①)。なお、一定期間と一定金額は、それぞれ政令で定められています(特定商取引法施行令§11①、②)


 つまり、特定継続的役務≠特定継続的役務「提供」です。


 例えばエステティックサロンだと、1か月を超え(特定商取引法施行令§11①、別表第4)、5万円(同§11②)を超える契約内容でなければ、特定継続的役務「提供」には当たらず、したがって、特定商取引法上の規制が適用されません。


 特定継続的役務提供に該当すれば、特定商取引法上の規制が適用されますが、その規制内容は次のようなものがあります(詳しくは直接条文に当たるか、消費者庁のホームページをご覧になるとわかりやすいです。)


  1. 書面の交付(特定商取引法§42)
  2. 誇大広告等の禁止(特定商取引法§43)
  3. 禁止行為(特定商取引法§44)
  4. 書類の閲覧等(特定商取引法§45)
  5. クーリングオフ(特定商取引法§48)
  6. 中途解約(特定商取引法§49)

特定継続的役務提供のクーリングオフ


 特定継続的役務提供は、クーリングオフが可能です。期間は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内です(特定商取引法§48①)。下図のような通知書(「商品を引き取ってください」の文言は特役には不要ですが。)を、8日以内に、できれば内容証明郵便で送付します。なお、8日以内に発信すれば(消印がついていれば)、クーリングオフは効力を生じます(特定商取引法§48③)

タイトルに通知書と書き、続いて「次の契約を解除します。」と記載する。契約年月日、商品名、契約金額、販売会社を記載し、「支払った代金○○円を返金し、商品を引き取ってください。」の後、発信日、自分の住所、氏名を記載する。

国民生活センター「クーリング・オフ」から引用



特定継続的役務提供の中途解約


 万が一、クーリングオフ期間が過ぎても、諦めるのはまだ早いです。なぜなら、特定継続的役務提供においては、クーリングオフ期間が経過しても、将来に向かって特定継続的役務提供等契約を中途解約することができます(特定継続的役務提供§49①)


 ただしこの場合には、「将来に向かって」解約されるため、返ってくる金額については若干の制限があります。


 例えば、事業者が消費者に対して請求することができる損害賠償などの額の上限について、契約の解除が役務提供開始の前か後かによって決められており、エステティックは開始前の解除だと2万円、開始後の解除だと2万円か契約残額の10%となっています。それ以上の額を既に受け取っている場合には、事業者は消費者に対して、残額を返還しなければなりません。

まとめ

脱毛エステはよく業者を選んで!


 脱毛エステによって脱毛した場合には、その脱毛した方に清潔感が認められるという風潮が高まってきています。また、男性はひげ脱毛すれば朝のひげ剃りの時間も短縮できるなど、メリットも唱えられ始めています。


 私もひげはどうせ伸ばさないし、ひげ脱毛行こうかなぁと思ったりしていますが、業者選びは本当に慎重にすべきだと思っています。


 単に「安いから」という理由で選ぶのは、やめておいた方が無難でしょう。顔に傷がついても嫌ですしね。


 また、特定「継続的」役務提供の名のとおり、「継続」している間にエステサロンが潰れてしまうなどという問題もあります。このとき、先払いで全額例えば50万円払っている場合には、返ってこないことが多いです。財務の健全性のチェックも忘れず行いましょう。


 財務の健全性については、「前払方式」で5万円を超える特定継続的役務提供を行う事業者に対して、貸借対照表や損益計算書などを求めることができます(特定商取引法§45②)


 色々調べた上で、信頼できる業者を見つけて、無事に脱毛できるということを目的として選んでみましょう。


国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ〈№12〉】男性も増加!脱毛エステのトラブル」(https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20220721_1_lf.pdf)から引用


 上図のとおり、脱毛エステの相談件数はかなり多くなっています。ぜひこの点ご認識いただければ、万が一を防ぐための一助となるでしょう。

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