通信販売は少し特殊?

query_builder 2022/08/12
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 本年8月9日に、国民生活センターは、「PIO-NETにみる2021年度の消費生活相談の概要」と題して、2021年度の消費生活相談情報をまとめたものを公表しました。


 このうち、通信販売についての相談が最も割合が高いことが指摘されております。


 通信販売は、我々の生活に身近なものです。アマゾンや楽天で買ったりなどが代表的でしょうか。このほかにも、インターネット等を介した購入は、様々な場面で用いられます。


 今回は、通信販売について、少し触れてみたいと思います。


<参考>

国民生活センター「PIO-NETにみる2021年度の消費生活相談の概要」(https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220809_1.html

国民生活センター「クーリング・オフ」(https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html

消費者庁「通信販売」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/

通信販売

通信販売にクーリングオフはある?


 ありません。


 クーリングオフとは、契約の申込みや契約を締結した場合でも、一定の期間内であれば無条件でこれらを撤回したり、解除したりできる制度です。


 この制度は、例えば契約をせざるを得ないような心理状況下において契約をしてしまった方が、終わった後にその契約について再度考え直すことができるようにという配慮から、設けられました。


 これは、主に特定商取引法(特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)。以下同じ。)で設けられております(ほかには宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)§37の2など。)


 さて通信販売にクーリングオフ制度がないことについて触れるに、クーリングオフは上記のような心理状況下において認められるものでありますところ、通信販売は、じっくり規約を読むことができますし、業者に商品やサービスの状況を問い合わせることもできますし、なんだったら別に買わないという選択も容易にすることができます。


 このような理由から、通信販売にはわざわざクーリングオフを設ける必要がないだろうという価値観があるようで、したがって、通信販売にはクーリングオフ制度がないこととなっています。

通信販売では返品ができない?


 これは、業者が規約に何を書いているかで変わります。そのため、通信販売を利用する際には、何よりも規約を読むことが極めて重要です。


 特定商取引法15条の3第1項にその旨が定められています。


(通信販売における契約の解除等)
第十五条の三 通信販売をする場合・・・について広告をした販売業者が・・・申込みを受けた場合に・・・その購入者は、その売買契約に係る商品の引渡し・・・を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その申込みの撤回等を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合には、この限りでない。
2 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。


 したがって、通信販売で返品できるか否かについては、次のように整理されます。


  1. 事業者が広告であらかじめ、申込みの撤回等について、特約を表示しているか?
  2. していないばあいには、商品を受けた日(商品を受けた日を含みます。)から8日以内であれば、返品可能


 なお、「返品一切不可」という特約も、(個別具体的事情によって無効となる可能性もなくはないですが、)一般的には認められています(消費者庁「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」2頁参照)。

そもそも通信販売ってなに?


 ところで、そもそも通信販売とは何を指すでしょうか?ここでは、特定商取引法上の通信販売について、確認してみます。


 特定商取引法上の「通信販売」とは、「販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。」とされています。


 初見では意味が分かりませんので、消費者庁のホームページを見てみましょう。


 ここには、「例えば、新聞雑誌テレビインターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む)などによる広告や、ダイレクトメールチラシ等を見た消費者が、郵便電話ファクシミリインターネット等で購入の申込みを行う取引方法をいいます(ただし、「電話勧誘販売」に該当する場合は除きます。)。」と記載されています。


 概ねこのようなものが、特定商取引法上の通信販売に当たるのかとご認識いただければ足りると思います。


 そして、特定商取引法上の通信販売にはクーリングオフがないから、規約をよく読まなければいけないんだなということも、併せてご認識いただけるとよいと思います。

まとめ

通信販売はとにかく規約をよく読む


 通信販売では、とにかくページをくまなくよく読むことが大事です。なぜなら上述のとおり、クーリングオフがないので、一度ポチるとほぼ取り返しがつかないからです


 また、画面をスクリーンショットしておくことも、極めて重要です。なぜなら、インターネット上のページは絶えず更新されておりますところ、問題が生じたときには、その時点での広告表示が重要になります。

 そして、その証拠としてスクリーンショットを取っておくと、後々ご自身で主張する際に役立つからです。


 通信販売においてトラブルを未然に防ぐためには、この点を押さえておくと、だいぶトラブルが減ると思いますので、ご参考ください。

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