特定商取引法の通信販売に関する規制の強化?
本年9月2日に、消費者委員会は、SNSを利用して行われる取引に関する消費者問題に関する建議を公表しました。
これは主に消費者庁に対する建議(一般に、意見を役所、上位の人、機関などに申し述べることをいいます。)であって、特定商取引法上の通信販売、電話勧誘販売についてなされています。
ちょっと触れてみましょう。
<参考>
消費者庁「SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議」(https://www.cao.go.jp/consumer/content/20220902_kengi.pdf)
消費者問題に関する建議
建議した消費者委員会ってどんな組織?
今回、建議をした消費者委員会とは、どのような組織でしょうか?
消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)6条1項1号には「次に掲げる重要事項に関し、自ら調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に建議すること。」と定められています。
「次に掲げる重要事項」とは、
- 消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項
- 消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策に関する重要事項
- 景品類等の適正化による商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に関する重要事項
- 物価に関する基本的な政策に関する重要事項
- 公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する重要事項
- 消費生活の動向に関する総合的な調査に関する重要事項
です。
委員会は、委員10人以内で組織されます(法§9①)。
建議の概要
主な要因は、デジタル化の進展です。これによってSNS関連の消費生活相談件数も年々増えており、2021年には合計で約5万件もの相談が寄せられているようです(前掲消費者庁1頁)。
これを受けて、
- SNS のメッセージを含むインターネットを利用した広告表示に対する法 執行の強化等
- 電話勧誘販売に該当する場合の解釈の明確化及び周知
- 消費者への注意喚起及び関係事業者等への情報提供
が建議された次第です。
SNSのメッセージを含むインターネットを利用した広告表示に対する法執行の強化等
今回はこれについてのみ触れます。
今建議では、消費者庁が
- 特定商取引法上の表示義務(§11)と誇大広告等の禁止(§12)の規程の執行の強化
- 広告等に表示しなければならない事項をSNSメッセージ上で容易に認識できる場所に表示させることの徹底
- 形式的な契約当事者以外の連携共同事業者への特定商取引法の執行の強化
- 特定商取引法に関係する法制度を連携させた法運用
をすべきことを建議しています。
ざっくりまとめると、「SNSみたいな表示が分かりにくいものは、しっかりと消費者が認識できるようにさせなさいよ」とか、「再々再委託先だからうちは関係ないとかいいう会社にも、ちゃんと法適用しなよ」的な感じだと思います。
理由についても述べていますが、この辺は専門家の範疇だと思います。事業者としてはどちらかと言えば、この理由の部分も重要ですがそれよりも「この建議によって広告規制が強化されるかもしれない」とアンテナを張ることが重要だと思います。
まとめ
小括
今後、この建議を受けて消費者庁がどのような動きをするかが重要です。
SNSに限らずインターネット上の消費者問題は増加傾向にあるため、かなりの規制が施される可能性があります。
インターネット上で活動をする事業者においては、常に最新情報を掴むようにアンテナを張っておくことをおすすめします。
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