機能性表示食品の届出について

query_builder 2021/08/20
行政手続関連
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 機能性表示食品とは、安全性及び機能性に関する一定の科学的根拠に基づき、食品関連事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行うものとして、消費者庁長官に届け出られたものです。これを届け出ることによって、機能性を届け出たものとして商品の社会的信頼性が増し、売り上げの上昇につながることが期待されます。

 他方で、食品には食品被害が生じるおそれも当然にあり、特に機能性表示食品は特定の保険の目的が期待できるものであるとして通常の食品とは異なりますから、食品関連事業者は自己の責任においてこれを担保する必要があります。そうすると、食品関連事業者側で食品が安全であることをよく調査し、その調査結果を証拠として届出に添付する必要があります。機能性表示食品の届出は要式も複雑ですので、食品関連事業者側にとっては負担になる場合があるようです。今回は、機能性表示食品の届出について、川崎市にある信長行政書士事務所の行政書士として説明していきたいと思います。


<参考>

消費者庁「【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について」

    「機能性表示食品の届出」-届出書類一式

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/#notify

    

機能性表示食品届出の流れ

概要

消費者庁「【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/foods_with_function_claims_200414_0001.pdf)より引用

閲覧日:2021年8月15日


 機能性表示食品の届出の流れは上図のとおりです。事前準備では、特に届出をしようとする食品の安全性については、食経験及び最終製品に含有する機能性関与成分と医薬品との相互作用等の観点から、届出者の責任において自ら評価する必要があります。次に、ユーザーIDの取得ですが、これは現在では機能性表示食品の届出は電磁的方法によりますから、事前にこれを取得しておく必要があります。所定の事項を記入して電磁的に届出を行った後、問題がなければ届出が完了し、情報公開がされます。

 なお、機能性表示食品の届出は、販売日の60日前までに消費者庁長官に届け出る必要があります(食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)2条1項10号)。したがって、事業計画を策定する上でも、この日にちは特に注意してください。うっかり「●月●日を目指して機能性表示食品を販売することを予定しています。」などとプレスリリースを出したときには、現場の人間が泡を食う可能性が大いにあります。

機能性表示食品とは

機能性表示食品の対象となる食品

 機能性表示食品の対象食品は、原則として食品全般です。便宜上、消費者庁は次のようにサプリメント形状の加工食品その他加工食品生鮮食品の3つ分類しています。



このうち特にカプセル剤や粉末剤については、カプセルがちゃんと胃の中で崩れるかといった崩壊性試験や粉末が人体にしっかりと吸収されるかといった溶出試験による評価が必要となります。

 このほか、食品表示基準2条1項10号に規定されているとおり、


  • 疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)を対象としているものであること。
  • 機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示しているものであること。
  • 特別用途食品及び栄養機能食品でないこと、アルコールを含有する飲料でないこと、(脂質、飽和脂肪酸、コ レステロール、糖類(例外あり)、ナトリウム)の過剰な接種につながらないこと。
  • 販売日の60 日前までに消費者庁長官に届け出たものであること。


などの諸条件もありますが、この辺はいざ販売しようと考えている事業者でしたら既に調べられているものとして、割愛します。

機能性表示食品における機能性関与成分とは

 機能性表示食品で最重要な点は、機能性関与成分です。なぜなら、機能性関与成分と医薬品との相互作用をよく検証し、機能性表示食品と医薬品を同時に摂取した場合に健康被害が生じないように、よく調査しなければならないからです。

 さて、機能性関与成分とは、特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)に資する成分をいいます。その考え方は、表示しようとする機能性に係る作用機序(薬物が生体に何らかの効果を及ぼす仕組み、メカニズムなどを意味する表現です。)について、in vitro試験(試験管内での試験)及びin vivo試験(いわゆるマウス実験など。)又は臨床試験(ヒト試験)により考察されているものであり、直接的又は間接的な定性確認及び定量確認が可能な成分です。ただし、エキス(基原原料を抽出し、濃縮したもの)については若干の例外があります。

 注意が必要な点として、機能性関与成分として対象とならない成分(対象成分となりうる成分)があります。それは、次のとおりです。


対象外
 
対象成分となりうる先の構成成分等(例)
たんぱく質
各種アミノ酸、各種ペプチド
脂質

飽和脂肪酸

n‐3系脂肪酸
α‐リノレン酸、EPA(eicosapentaenoic acid)、DHA(docosahexaenoic acid)
n‐6系脂肪酸
γ‐リノレン酸、アラキドン酸
コレステロール

炭水化物

糖質
キシリトール、エリスリトール、フラクトオリ ゴ糖、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳 果オリゴ糖(ラクトスクロース)
糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)
L-アラビノース、パラチノース、ラクチュロー ス
食物繊維
難消化性デキストリン、グアーガム分解物
亜鉛

カリウム

カルシウム

クロム

セレン



ナトリウム

マグネシウム

マンガン

モリブデン

ヨウ素

リン

ナイアシン

パントテン酸

ビオチン

ビタミンA
プロビタミンA カロテノイド(β-カロテン、 α-カロテン、β-クリプトキサンチン等)
ビタミンB1

ビタミンB2

ビタミンB6

ビタミンB12

ビタミンC

ビタミンD

ビタミンE

ビタミンK

葉酸

熱量



機能性表示食品に必要な科学的根拠と安全性

 機能性表示食品に求められる科学的根拠の水準は、消費者の誤認を招かず、消費者の自主的かつ合理的な食品選択に資するものである必要があります。

 安全性については、まず食経験の評価を行い、食経験に関する情報が不十分である場合には既存情報により安全性の評価を行う。食経験及び既存情報による安全性の評価でも不十分な場合には、安全性試験を実施して、安全性の評価を行う。これに加えて機能性関与成分と医薬品との相互作用、機能性関与成分を複数含む場合については、当該成分同士の相互作用の有無を評価する必要があります。また、機能性については、最終製品を用いた臨床試験(ヒト試験)の実施又は最終製品若しくは機能性関与成分に関する研究レビューにより説明が必要です。



その他必要な事項及びまとめ

 機能性表示食品の届出のうち、最も重要な安全性評価に関する評価方法をフローチャートに則って進めていくと、そのほかに機能性関与成分等の相互作用に関する評価生産・製造及び品質管理の体制(食品の分析、保存、文書及び記録の保管)も届け出る必要があります。相互作用に関する評価も概ねフローチャートの流れに沿って行われることとなります。

 また、健康被害の情報収集体制届出後における健康被害情報の収集・評価・報告の体制などが整備されているかなども届出が必要です。

 

 非常に複雑ですが、この届出自体は行政手続法(平成5年法律第88号)37条に基づく届け出に当たりますから、届出書の記載事項に不備がないことや必要書類が添付されていること、届出の形式上の要件に適合している場合には、原則として機能性表示食品として認められると考えてよいと思います。ただし、機能性表示食品は事業者自らが安全性を評価するという性質上、安全性が認められない場合には、添付書類に不備があるものとして補正が繰り返されることになると思います。

 ひとつひとつ課題をクリアしていけば、基本的には無理難題を求められているわけではありません。行政手続ですから、行政手続法やそのほかの要件を丁寧に満たしていくことが求められます。行政手続上お困りのことがありましたら、川崎市にある信長行政書士事務所の行政書士へお気軽にお問い合わせください。

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